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Power BI / リリースノート / 2026/04/22 / 重要

Power BI 2026年4月のリリースノート解説: モバイル Copilot、Direct Lake、レポート作成体験が前進

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公式リリースノート

Power BI の 2026年4月アップデートは、Power BI Desktop / Service の月次更新として、レポート閲覧、レポート作成、モデリング、運用移行の論点がまとまって入った回です。大きく見ると、モバイルでの Copilot 利用を強める更新、レポートの見た目を安定させる更新、Direct Lake 前提のモデリングを広げる preview、そして古い体験や内蔵ドライバーの整理が並んでいます。

この月次記事の更新方針

この公式ページは、月次またはbundle単位で公開されるリリース情報をもとにしています。月中や後日に同じ公式URLへ項目が追記される場合がありますが、その場合は新しい日付の記事を増やすのではなく、再棚卸し時にこの月次記事を更新して反映します。つまり、この記事はその月の公式リリース情報を追い直すための基準ページとして扱います。

要点

  • Power BI Mobile の in-report Copilot が、要約や定型プロンプトだけでなく、レポートに対する会話型の質問・追質問に対応した
  • modern visual defaults と theme 管理が進み、既存レポートを新しい見た目へ寄せる、または従来テーマへ戻す判断がしやすくなった
  • card、button slicer、list slicer で fixed size layout が使えるようになり、レポート上の部品サイズをピクセル単位で揃えやすくなった
  • Direct Lake calculated columns / tables、user-context-aware calculated columns、DAX user-defined functions など、モデリング側の preview が継続して前進した
  • 旧 file picker の終了と、内蔵 Netezza ODBC driver の非推奨化は、Power BI 管理者が移行計画として確認しておきたい項目である

今回の更新で何が変わるのか

今回の4月アップデートは、Power BI を「作って共有するBI」から、「AIで読み、現場で操作しやすく、Fabric とつながる分析面」へ寄せる流れとして読むと分かりやすいです。特に Copilot in Power BI Mobile は、閲覧者がレポートを開いてから、自然言語で指標の背景を尋ね、追加の可視化を得て、参照元 visual の citation で確認するという使い方を想定しています。

一方で、レポート作成側では派手な AI 機能だけでなく、visual の既定スタイル、テーマ、slicer や card のレイアウト、preview visual の見分けやすさといった、日々の作り込みに効く改善が多く入っています。組織で Power BI を標準BIとして運用している場合、こうした細部の安定性は、レポート品質や保守性に直結します。

モデリングでは Direct Lake on OneLake を前提に、calculated columns / tables や user context を反映する calculated columns が preview として示されています。これは、データ準備を上流チームが管理していても、Power BI 側で必要な列や表現を補いたいという現実的なニーズに近い更新です。

対象になりそうなチーム

  • Power BI を組織標準の BI / reporting 基盤として運用している BI 管理者
  • Power BI Mobile でレポートを閲覧する現場ユーザーや営業・マネジメント層を支援しているチーム
  • Copilot をレポート閲覧体験に組み込みたい AI 推進チーム
  • Direct Lake、OneLake、Fabric と Power BI の接続を評価しているデータ基盤チーム
  • カスタムテーマ、slicer、card、Azure Maps、Narrative visual などを使ってレポートを細かく設計している作成者

Copilot とモバイル閲覧体験

Power BI Mobile の in-report Copilot は、レポートに基づく会話型チャットへ広がりました。ユーザーはモバイル端末上で、KPI の変化理由、特定指標の深掘り、追加の視点などを自然言語で尋ねられます。回答には、どの visual を根拠にしたかを示す citation が付くため、単に AI の回答を読むのではなく、元のレポート画面へ戻って確認しやすい設計です。

この更新の実務的な意味は、Power BI の「閲覧だけの利用者」にも AI 体験が届きやすくなる点です。特にモバイル利用では、フィルターやドリル操作を細かく行うよりも、質問して要点を得るほうが自然な場面があります。ただし、Copilot が答えやすいレポートにするには、semantic model の命名、指標の定義、visual の粒度、アクセス権限が整理されている必要があります。

レポート作成とデザイン面の改善

modern visual defaults と theme の改善では、Customize current theme dialog に base theme switcher が追加され、既存レポートを新しい base theme に更新する、または custom theme との相性を見ながら従来の見た目に戻す、といった判断がしやすくなっています。table / matrix の既定スタイルや built-in theme tiles の表示も更新され、レポート全体の見た目を揃える導線が強化されています。

fixed size layout は、card、button slicer、list slicer の各 item に対して明示的なピクセルサイズを設定できる更新です。これまでは visual container に合わせて見え方が変わりやすかった場面でも、item の高さや幅を固定し、足りない場合は scroll bars を出す形にできます。階層付き list slicer では、展開・折りたたみによって項目数が変わっても、間隔を揃えやすい点が効きます。

そのほか、card visual の category header 選択時の強調表示、Azure Maps visual の map style picker と Format pane の同期、preview visuals を Visualizations pane 内で分かりやすく表示する改善、Narrative visual の Copilot mode 既定化なども含まれます。これらは個別には小さく見えますが、作成者が迷う箇所や利用者が混乱する箇所を減らす更新です。

モデリングと Fabric 連携で見るべき点

Direct Lake calculated columns / tables の preview は、Direct Lake on OneLake のテーブルに対して、Power BI 側で calculated columns を扱いやすくする方向の更新です。上流のデータ準備を別チームが管理している、あるいは OneLake 上のデータをそのまま分析に使いたい場合、レポートや semantic model 側で必要な補助列を作れる余地が広がります。

user-context-aware calculated columns は、UserCulture()UserPrincipalName()CustomData() などの DAX 関数に応じて calculated columns が動的に振る舞う preview です。翻訳、ユーザー別表示、権限やコンテキストに応じた見せ方など、グローバル展開や複数部門利用で効いてくる可能性があります。

DAX user-defined functions では NAMEOF の拡張が紹介されています。既存モデルの挙動は変えずに、名前のどの構成要素を返すか、表示向けにどう整えるかを制御できる方向です。DAX UDF は便利な一方で、組織内で使い方を揃えないと可読性やレビューが難しくなるため、preview 評価時から命名規則やレビュー観点を用意しておくと安全です。

運用上の注意点

旧 file picker experience は、4月の SU04 release 以降、Power BI Desktop で利用できなくなり、更新版 file picker が既定になります。Microsoft は利用者側の追加対応は不要としていますが、社内手順書や研修資料、問い合わせ対応のスクリーンショットが古い画面を前提にしている場合は差し替えが必要です。

また、以前から内蔵されていた IBM Netezza ODBC driver は非推奨化され、GA になっている IBM Netezza ODBC driver を別途導入して使う流れになります。Netezza 接続を使っている環境では、Power BI Desktop の更新タイミング、ドライバー配布、接続テスト、障害時の切り戻し手順を確認しておくとよいです。

実務でまず確認したいこと

  1. モバイル閲覧が多い重要レポートで、Copilot が適切な指標名・説明・visual を参照できるか確認する
  2. 既存 custom theme と modern visual defaults の相性を検証し、更新するレポートと当面維持するレポートを分ける
  3. fixed size layout を使うべき slicer / card があるレポートを洗い出し、テンプレートやデザイン標準へ反映する
  4. Direct Lake 系 preview は、本番投入ではなく検証モデルで、性能・権限・保守性を確認する
  5. Netezza ODBC driver と旧 file picker に関係する社内手順、端末配布、サポート資料を更新する

結局、この更新をどう見るべきか

Power BI の2026年4月アップデートは、単一の大型機能というより、AIで読む体験、レポートを崩さず作る体験、Fabric 前提のモデリング、古い仕組みの整理を同時に進めた月次更新です。Power BI を日常業務の分析面として使っている組織ほど、Copilot だけでなく、theme、layout、driver、preview 管理まで含めて確認しておく価値があります。