Metabase / 公式ブログ / 2026/07/20 / 通常
LibreChatからSlackエージェントへ広がった社内AI基盤
公式ブログ原文
Metabaseは、社内向けAIチャットの土台としてLibreChatを選び、その運用がSlack上で仕事を支援するエージェントへ発展した経緯を紹介しました。
要点
- LibreChat、LobeChat、Open WebUIを実環境で比較し、Helm・GitOps運用、複数モデル、MCP、RAG APIを理由にLibreChatを選びました。
- pgvectorを使う共有RAG・記憶MCPを自作し、ファイル処理、埋め込み上限、ツール数、OAuthの問題へ対処しました。
- Slackエージェントは利用者のLibreChat上のOAuth状態を個人APIキーで結び、共通ボット権限ではなく本人の権限で動きます。
今回のブログ記事で語られていること
出発点は、社員ごとに分散していたChatGPTのログイン、Anthropicのキー、Claude Desktop、Cursor、GitHub・Notion・Slackの接続トークンを、認証付きの管理された入口へ集約することでした。Metabaseはセルフホスト可能なLibreChat、LobeChat、Open WebUIを、配備と長期運用、MCPの設定しやすさ、利用者別OAuthという基準で比較しました。Open WebUIは当時Anthropic接続とMCPが第一級ではなく、LobeChatは配備とMCP設定で決め手を欠いたと説明しています。LibreChatはHelmで既存のGitOpsへ組み込みやすく、Anthropic、OpenAI、OpenRouterを直接扱え、MCP統合が最も深かったことが選定理由です。
LibreChatのRAG APIはLangChain、Postgres/pgvector、FastAPIで構成されますが、標準機能は会話ごとの個人ファイル検索を想定していました。Metabaseは、全員が会話をまたいで読み書きできる共有RAG・記憶層を別に作り、独自MCPとして公開しました。GitHub、Notion、Grafana、MetabaseなどのMCPを追加し、エージェントはまず共有記憶を調べ、その後に社内ツール、最後にウェブ検索を使います。運用では、RAG配備前はファイル添付が動かない、PDFは速いがCSVが遅いか失敗する、埋め込み事業者のレート制限・クレジット切れで処理が止まる、Linear MCP追加後にモデルの128ツール上限を超える、といった具体的な問題が起きました。OCR用の予備キー、セルフホスト埋め込みの検討、エージェント別のツール絞り込みで対処しています。
LibreChat本体にも貢献しています。OAuthを使うMCPで更新処理が不安定になる不具合を修正して上流へ送ったほか、実験段階の記憶機能で見つけたDB不具合も修正しました。その後、社内ハッカソンでLibreBotというSlackエージェントを構築しました。初回利用時に個人APIキーを発行し、Slackの本人情報とLibreChatの本人情報を結びます。ツール呼び出しは管理者や共通ボットの権限ではなく、各利用者がLibreChatで接続したGrafana、LinearなどのOAuth状態をそのまま使います。そのため、ウェブ画面側の認証が失効すれば再認証が必要です。SlackではDMまたはメンションを入口に、共有記憶、Notion、GitHub、Linear、Slack、Grafanaなどを選び、応答をストリーミングします。チームはマージ状況の要約、障害調査、Grafana・Loki・Slackを横断した信頼性分析などに利用したとしています。
今回のブログ記事が関係する人
社内AI環境を整えるIT・プラットフォーム担当、LibreChatをセルフホストする運用担当、Slackボットや社内ツール接続を開発するチームに関係します。
結局、今回のブログ記事をどう読むべきか
LibreChatを選んだ決め手は見た目ではなく、Helm・GitOpsで運用でき、MCPを第一級に扱えたことです。Slack化の核心も会話画面の移植ではなく、個人APIキーを通じて利用者ごとのOAuth状態と権限を保持した点にあります。セルフホストでは、RAG、埋め込み、OAuth、上流修正まで自社が担う前提で工数を見積もる必要があります。