Hightouch / リリースノート / 2026/07/26 / 通常
Hightouch、Customer Studioの参照制御と同期先運用を拡張
公式リリースノート
Hightouchの2026年7月更新では、Customer Studioのエージェントに見せるデータ範囲、Lifecycle Studioの商品カタログ利用、再利用できるメール部品、エージェント中心のホーム画面、同期エラーやファイル送信の運用などが改善されました。AIを使うマーケティング操作と、その周辺の統制・確認作業を同時に整える月次更新です。
要点
- Customer Studioの
General modelsでSQL定義の選択範囲とdbtテーブルを使い、エージェントが照会できる行やモデルを絞れます - Lifecycle Studioは商品名やSKUから実在する商品画像を使うキャンペーンを作れます
- HTML、既存メール、Figmaから再利用できるメール部品を作成できます
- エージェント機能を有効にしたワークスペースへ、チャット中心の新ホーム画面を段階提供します
- Salesforce Marketing Cloudの行単位エラー、GCSの単一ファイル更新、S3/SFTPの圧縮・暗号化に対応しました
- Marketoの検索、JSON・オブジェクト型の展開、Eagle Eye、ファイル情報、コード整形、サポートチャット移動も含みます
今回の更新で変わること
Customer Studioでは、公式名称がGeneral modelsのモデルで、SQLにより定義した選択範囲とdbtテーブルを扱えるようになりました。これまではエージェントへウェアハウスのテーブル全体を見せる設計になりやすかったところを、問い合わせ対象の行やdbtのモデル単位へ絞れます。マーケティング担当が自然言語で分析する利便性を保ちながら、対象顧客、地域、ブランド、事業部などの境界をデータモデル側で表現しやすくなる更新です。ただし、この機能だけで権限設計が自動的に完成するわけではありません。SQLの条件、dbtのモデル公開範囲、元テーブルの権限、エージェントが利用する接続情報を一緒に確認する必要があります。
Lifecycle Studioでは、商品カタログを基にキャンペーンを組み立てられます。商品名やSKUで対象を選ぶほか、自由文で商品を説明して選択でき、生成メールには架空の商品ではなく実際のカタログ画像が使われます。生成AIが商品名や画像を作り出してしまう問題を抑え、在庫や販売対象として管理されている商品へキャンペーン表現を結び付ける方向です。実運用では、商品カタログの更新頻度、SKUの一意性、販売停止商品の除外、画像利用条件を先に整えておく必要があります。
メール作成では、HTML、既存メール、Figmaから再利用可能な部品を作れるようになりました。ブランド共通のヘッダー、フッター、商品欄などを毎回作り直すのではなく、承認済みの表現を部品として使い回せます。生成内容の自由度を保ちながら、法務表記やブランド表現を固定したいチームに有用です。元のHTMLやFigmaデザインを取り込めることと、配信先で完全に同じ表示になることは別なので、主要なメールクライアントで表示確認を続ける必要があります。
エージェント機能を有効にしたワークスペースには、チャットを中心にした新しいホーム画面が段階的に提供されます。個別提案、最近のレポート要約、広告・キャンペーン・チャット履歴をまとめて表示する設計です。利用者は分析、レポート確認、施策作成の入口を一つに寄せられますが、段階提供なので全ワークスペースで同時に使えるとは限りません。画面変更を前提にした教育資料や操作手順は、実際の提供状況を確認してから更新する必要があります。
同期先の運用では、Salesforce Marketing Cloudが行単位のエラーを返せるようになり、失敗したレコードを同期全体の失敗から切り分けやすくなりました。Google Cloud Storageは更新時に一つのファイルへ書き出す方式を選べます。Amazon S3とSFTPでは、圧縮なし、Gzip、Zipを選べ、ZipにはAES-256のパスワード暗号化を設定できます。Marketoでは、プログラムとフォルダーを選ぶ画面に検索と絞り込みが加わりました。いずれも、再実行、受け渡し形式、暗号化、選択ミスの防止に関わるため、既存ジョブの既定値が意図せず変わっていないか確認が必要です。
連携と運用確認も広がりました。Eagle Eye向けの新しい送信先では、選択したキャンペーンのロイヤルティークーポンをオーディエンス参加者へ発行し、参加者がオーディエンスから外れると自動で取り消せます。JSONまたはオブジェクト型の値を同期先の個別フィールドへ展開する機能は、Marketo、Adobe Target、Google Sheetsで利用できます。ファイル型の送信先では、送信したファイル名やデータ量などを同期実行の要約画面で確認できます。クーポンの付与・取消、複合値の展開、ファイル転送の証跡が、それぞれ施策条件や同期実行へ結び付くため、問い合わせ対応や失敗調査に使いやすくなります。
そのほか、JSON、XML、LiquidJS、SQLなどを整形するBeautifyボタンがコード入力欄へ追加され、サポートチャットは画面右下から左側ナビゲーションへ移動しました。今回の月次更新は一つの大型機能ではなく、エージェントが触れるデータの境界、生成物の根拠、外部送信、日常操作を横断して整える内容です。
対象になりそうなユーザー・チーム
Customer StudioやLifecycle Studioを使うマーケティング運用担当、dbtのモデルを管理する分析エンジニア、ウェアハウスの権限を管理するデータ基盤担当、Salesforce Marketing Cloud、Google Cloud Storage、Amazon S3、SFTP、Marketo、Eagle Eyeを運用する連携担当に関係します。
実務で確認するポイント
- Customer Studioのエージェントへ公開するSQL選択範囲と
dbtのモデルが、社内のデータ利用区分に合っているか確認します - 商品カタログのSKU、画像、販売状態を生成キャンペーンへ渡せる品質に整えます
- 再利用メール部品に法務表記とブランド表現を反映し、主要クライアントで表示を試験します
- Salesforce Marketing Cloudの行単位エラーを再実行手順へ組み込みます
- Google Cloud Storage、Amazon S3、SFTPのファイル形式と暗号化設定を確認します
- Marketoの選択画面、JSON・オブジェクト型の展開、Eagle Eyeの取消条件を試験します
- 新ホーム画面の提供状況とファイル情報の表示を運用手順へ反映します
今すぐ対応が必要か
既存設定が直ちに壊れる変更は示されていません。新しいデータ範囲制御や商品カタログ連動を使う場合は、権限とデータ品質を先に確認してください。ファイル圧縮・暗号化や単一ファイル更新を有効にする場合は、受け取り側の処理と合わせて試験が必要です。段階提供のホーム画面は、対象ワークスペースで表示された時点で操作手順を見直せば十分です。
結局、この更新をどう見るべきか
7月更新の中心は、エージェントに何を見せ、何を根拠に生成し、外部へ何をどの形式で送ったかを扱いやすくすることです。月次の変更欄は同じURL上で項目が増える可能性があるため、Hightouchを運用するチームは新機能の有無だけでなく、公式欄に追加された項目が既存の権限、同期、メール制作、ファイル受け渡しの手順に影響しないかを定期的に確認してください。AI機能の追加だけを見るより、データ境界、再利用部品、同期エラー、暗号化、運用証跡を一緒に設計できるかが実務上の評価点になります。