ClickHouse / 公式ブログ / 2026/07/10 / 重要
ClickHouse、Apache Arrow対応の公式ADBCドライバーを公開
公式ブログ原文
ClickHouseは、Apache Arrowのデータベース接続標準ADBCに対応する公式ドライバーを公開しました。ClickHouseのクエリ結果を行形式へ変換せず、Arrowの列形式のままアプリケーションへ渡せます。Ruby、R、Cなど、従来は公式クライアントがなかった言語からも共通ドライバーで接続できます。
今回のブログ記事で語られていること
ADBCは、分析処理やAIアプリケーション向けに設計された、複数言語対応の接続仕様です。ODBCやJDBCでは、ClickHouseが列形式で生成した結果をいったん行形式へ変換し、データフレームなどの利用側で再び列形式へ戻すことがあります。公式ADBCドライバーは、データベースからアプリケーションまでApache Arrow形式を維持し、この変換と中間処理を減らします。Polars、pandas、データパイプライン、AIエージェントが大量の結果を受け取る場面で効果が期待されます。
ドライバーはRustで実装され、ClickHouseのHTTPインターフェースを使い、TLSにも対応します。clickhouse://形式の接続先をADBCのドライバー管理機能へ渡すと、ClickHouse Cloudとセルフホスト環境のどちらでも利用できます。配布はColumnarとの協力によるADBC Driver Foundryで行われ、パッケージ管理ツールdbcから署名済みのビルドを導入できます。dbt Labsが提供するRust製の実行エンジン「dbt Fusion」には直接同梱されるため、別途導入せずClickHouseとの接続に使えます。
採用が向くのは、Arrowを前提とするツールを使う場合、公式クライアントのない言語から接続する場合、AIエージェントや自動データ処理で大量データを列形式のまま受け渡す場合です。一方、ClickHouseとArrowの型は完全には一致せず、非同期APIも現時点では利用できません。行をオブジェクトへ対応付ける処理、ORM、レコード単位のアプリケーション処理、ClickHouseの型を広く使う用途では、各言語の公式クライアントが適する場合があります。
発表は「変換がない」構成上の利点を説明していますが、すべての処理が一律に高速化することを保証するものではありません。実際の効果は、結果件数、型、ネットワーク、利用ライブラリ、後続処理によって変わります。既存クライアントを置き換える前に、代表クエリで転送時間、メモリ使用量、型の互換性を比較する必要があります。
今回のブログ記事が関係する人
ClickHouseからPolarsやpandasへ分析結果を取り込むデータ担当者、dbt Fusionを試す分析基盤チーム、Ruby・R・CからClickHouseへ接続したい開発者、列形式のデータを扱うAIエージェントやパイプラインの設計者に関係します。
利用前に確認したいこと
- 使用するClickHouse型がArrowへ正しく対応するか
- 既存クライアントと比べた転送時間、メモリ使用量、失敗時の挙動
- 非同期処理やORMが必要な箇所を公式クライアントに残すか
dbcで取得するバイナリの配布元、署名、更新手順- ClickHouse Cloudとセルフホスト環境それぞれのTLS・認証設定
結局、今回のブログ記事をどう読むべきか
公式ADBCドライバーは、ClickHouseの列指向処理をアプリケーション側までつなぎ、言語ごとの接続実装を減らす選択肢です。Arrow中心の分析処理や、dbt Fusionを使う処理では有力ですが、型の完全互換、非同期API、レコード単位の処理を目的とした万能な置き換えではありません。まず代表的な大量取得処理で検証し、公式クライアントと用途を分けるのが現実的です。