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Alibaba / Qwen / 公式ブログ / 2026/07/13 / 通常

Qwenを完全閉域VPCで動かすPAI-EAS構成

AIセキュリティinfrastructure

公式ブログ原文

Alibaba Cloud公式ブログは、Qwenのモデル重み、実行コンテナ、検索拡張生成のデータ経路を完全閉域VPCへ置く構成例を公開しました。規制業種で生成AIを使う際に、推論時の外部通信を止めるだけでなく、モデル取得と知識検索も含めて閉域化する設計です。

要点

  • NAT GatewayとEIPを持たないVPCに、PAI-EASの専用リソースグループを配置します。
  • Qwenの重みと依存物を事前にOSSへ置き、OSS VPCエンドポイントとPrivateZoneで内部経路だけから読み込みます。
  • PAI-EASでenable_internet_access: false、実行環境でHF_HUB_OFFLINE=1を設定し、起動時の外部ダウンロードを防ぎます。
  • 検索拡張生成はGoogle検索などの外部ツールを使わず、VPC内のHologresやMilvus、内部埋め込みモデルへ置き換える必要があります。
  • 記事はAlibaba Cloud MVPによる設計ガイドであり、個別環境の規制適合や完全な侵入防止を保証する認証文書ではありません。

今回のブログ記事で語られていること

記事の出発点は、金融、医療、防衛などでは、入力データを外部APIへ送らないだけでは十分でないという問題です。一般的なLLM導入手順では、推論サーバーがHugging FaceやModelScopeから重み、トークナイザー、Python依存物を起動時に取得します。その出口が残っていれば、依存物の改ざんやデータ持ち出しの経路にもなります。そこで、必要な成果物を事前に検査して管理下の非公開領域へ持ち込み、実行時は外部通信を持たない不変の環境にする方針を示しています。

具体的な構成は、NAT GatewayとEIPを付けないVPC、Qwenの重みを保存する非公開OSSバケット、OSSのVPCエンドポイント、内部DNSを担うPrivateZone、GPUを持つPAI-EAS専用リソースグループです。セキュリティ担当が閉域外の安全な作業場所で重みと依存物を取得し、検査後に内部OSSへ入れます。PAI-EASは標準のOSS名をPrivateZoneで内部エンドポイントへ解決し、公開インターネットを通らず重みをGPUメモリーへ読み込みます。

記事は、一般のサーバーレスPAI-EASではなく専用リソースグループが必要だと説明しています。デプロイ定義ではVPCとvSwitchを明示し、enable_internet_access: falseで外部ネットワークを無効化します。コンテナにはHF_HUB_OFFLINE=1とテレメトリー無効化を設定し、モデルや設定ファイルを取りに行く挙動を止めます。ここで重要なのは、外向き通信をファイアウォール一つで止めるのではなく、DNS、ストレージ、コンテナ、モデル取得の各層を同じ方針へ合わせることです。

後半では、LLMだけを閉域化しても検索拡張生成が外部検索へ依存していれば実用にならない「MVPの失敗」を扱います。LangChainやLlamaIndexの検索ツールがGoogle Search、SerpAPI、Wikipediaへ接続する構成をやめ、Jira、Confluence、社内Gitなどから内部ネットワーク経由で取り込む方式へ変えます。埋め込みモデルもPAI-EAS内へ置き、Hologresのベクトル機能やVPC内Milvusへ保存します。利用者の質問に対し、内部アプリが検索と文脈注入を終えてから、自己完結したプロンプトをQwenへ渡す流れです。

記事が示す設計は、データ主権をネットワーク閉域だけで捉えない点に価値があります。重みの供給元、コンテナイメージ、Pythonパッケージ、テレメトリー、DNS、ログ、検索データ、運用者の持ち込み経路まで管理対象です。一方で、例示のインスタンスタイプ、DNS設定、コンテナタグをそのまま本番へコピーすれば安全になるわけではありません。latestイメージの固定、成果物の署名・ハッシュ確認、脆弱性検査、鍵管理、監査ログ、管理プレーンへの接続経路は各組織で補う必要があります。

背景にあるテーマ

生成AIの主権性は、プロンプトの保存場所だけでなく、モデルと依存物の供給網、推論環境の出口、検索拡張生成が参照する知識まで含む問題です。閉域化すると外部ツールの便利さを失うため、内部データの取り込みと更新を製品機能の一部として設計する必要があります。

今回のブログ記事が関係する人

規制業種のAI基盤担当、PAI-EASとAlibaba Cloudネットワークを運用するクラウド担当、モデル重みとコンテナの供給網を審査するセキュリティ担当、閉域の検索拡張生成を設計するデータ基盤チームが対象です。

どう読むと価値があるか

「外部APIを使わない」という方針を、具体的な構成要素へ分解するチェックリストとして読むと有用です。ただし、記事中の「完全に封印」といった強い表現を規制適合の証明として扱わず、自社の脅威モデル、管理プレーン、運用者権限、成果物検証を追加して評価します。

実務へのつながり

まず検証用の小さなQwenモデルで、外向き通信を拒否した状態から起動できるかを確認します。DNS照会、OSSアクセス、コンテナ取得、モデル読込、テレメトリー、ログ送信を通信記録で確かめます。その後、社内文書の取り込み、埋め込み更新、削除反映、アクセス制御、情報の有効期限を含む閉域検索の運用を試します。

結局、今回のブログ記事をどう読むべきか

Qwenを閉域で動かす手順だけでなく、生成AIの外部依存をモデル取得から検索まで洗い出す設計例です。採用価値は構成の丸写しではなく、どの通信と成果物を許可し、誰が検査して内部へ持ち込むかを明文化する材料にあります。